編集後記►「とい」を始めて20年、初めのうちは読者に手渡しする度に、「とい」とは何かという「問い」を投げ掛けられました。口ごもりながら、いかようにも「解いて」ください、と応えたものでした。時には、「とい」はローマ字表記ならtoiで、トワと仏語で読めば「あなた」という意味ですから、あなたのほうで考えてください、永久(とわ)にわからないかも、と言ったものでした。同人の、その時々の思いを集める「樋」であったのかもしれません。►千葉の「アメリカ日記」を読めば、学生を引率してアメリカへ行くことが、どういうことか手にとるようにわかる。「とい」には今まで硬いものが多かった。このグローバル化した時代に一度も海外へ出たことのないわたしには、コミカルな筆致にものせられて、楽しく読める。また、いろいろと考えさせられるところもある。►和田の「恩師小倉恒夫」を読めば、新渡戸稲造と重なり、伝説上の人物に教えを受けたことを、きちんと記録したい思いが伝わってくる。わたしも恵まれた環境で教えを受けてきた。だが、和田のようには恩師を認識できていなかったことを、あらためて思い出す。人と人とが親しく交わることの大切さを大事にしたいものである。►松崎にはずっと「とい」をリードしてもらっている。多忙のため、小説の続きがないのは残念だが、「はじめに」を用意してもらった。►かく言うわたしは、おそれおおくも、千葉の専売特許であった編集後記を担当させてもらっている。曲がりなりにも「とい」に書くことを、毎年の夏の課題と考えているわたしには、無念のリタイヤーだが、読むことと書くことを続ける意志には変わりない。<く>