春の朝
楠瀬健昭
雨戸をたたく大雨と
吹き付ける大風に
オドロイタ朝
芽吹く森に山桜を見て春の訪れを知る
様々なことがあり
言葉を失ったままのわたしにも
春が来たのはわかる
されど
希望の春も
春の憂鬱も
生命溢れる春も
言葉を失ったままのわたしには
沈黙の春
*
城に昇れば
クスノキの頂を渡る風
町を遠望する
ラジオから聞こえてくるアナウンサーの絶叫
「世界新記録!」
それがどうだというのか
宇宙ステーションにスペース・シャトル
若きプリチャピ
生命に溢れても
チェルノブイリは
ニガヨモギ
地上に明日への希望さえ持てずに苦しむ人たちがいるのに
戦争の悲惨は痛いほどわかっているはずなのに
今も続くイラクの戦い
*
温暖化と叫ばれている
地球の今は
冬の時代
国際化に
情報化
そしてグローバリゼーション
世界の国々との競争に
生き残るために
美しい国のために
「わたしたちは人間、決して機械ではありません」
かつてロボットは人間に搾取され
叛乱をおこした
*
地球に生きる喜び
取り戻すため
目覚めよう、人々よ
神の力頼み、再び
洪水で洗い流される前に
水も
空気も
大地も
みんなのもの
(2007/05/07)