春の朝

 

楠瀬健昭

 

雨戸をたたく大雨と

吹き付ける大風に

オドロイタ朝

芽吹く森に山桜を見て春の訪れを知る

 

様々なことがあり

言葉を失ったままのわたしにも

春が来たのはわかる

 

されど

希望の春も

春の憂鬱も

生命溢れる春も

言葉を失ったままのわたしには

沈黙の春

 

 

城に昇れば

クスノキの頂を渡る風

町を遠望する

 

ラジオから聞こえてくるアナウンサーの絶叫

「世界新記録!」

 

それがどうだというのか

宇宙ステーションにスペース・シャトル

 

若きプリチャピ

生命に溢れても

チェルノブイリは

ニガヨモギ

 

 

地上に明日への希望さえ持てずに苦しむ人たちがいるのに

 

戦争の悲惨は痛いほどわかっているはずなのに

今も続くイラクの戦い

 

 

温暖化と叫ばれている

地球の今は

冬の時代

 

国際化に

情報化

そしてグローバリゼーション

 

世界の国々との競争に

生き残るために

 

美しい国のために

 

「わたしたちは人間、決して機械ではありません」

かつてロボットは人間に搾取され

叛乱をおこした

 

 

地球に生きる喜び

取り戻すため

 

目覚めよう、人々よ

神の力頼み、再び

洪水で洗い流される前に

 

水も

空気も

大地も

みんなのもの

 

 

(2007/05/07)